映画賞

やまもと工藝 きるものがたり 

山本秀司(和裁士:袈裟、茶入・茶碗袋、和装、仕立師)が主宰する和裁教室の物語。やまもと工藝の徒然

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P100.P101 和裁士 山本秀司の沖縄染織紀行 南の風に呼ばれて


前に報告したコレこれの時の沖縄旅行記の4回連載のうちの第2回です。
 長いので時間のある時にでも読んで見てください。
(第1回はこちら


南の風に呼ばれて 第2回 「布から衣へ、過去から未来へ」


沖縄では、「ぬぬぬパナパナ」の
(沖縄染織を中心とする作家を支援するネットワーク)の
小田令子さんと大城廣四郎織物工房の大城拓也さんに案内をお願いしました。
一人でも大丈夫かな? と思った時、
友人である二人の顔が浮かびました。

私の講演会を県庁で開くと企画してくれた
芭蕉布工房の平良美恵子さんと待ち合わせしていたのですが
お互い顔を知らないし、また現地での行動もスムーズにしたいためで、
何とも心強い仲間です。
小田さんと拓也さんの案内で染織に携わるお宅を回り、
新しい道(染色の)を探りながら県庁に向かいました。

染織に携わる方々に私の考えを伝えられるという期待と、
講演会という舞台へのプレッシャーが、
まるで細長い風船を握り込んだときのように、
あちらこちらへと移動するような不思議な感じ。
何しろうまく話すための段取りなどまったく決めていないのです。
頭の中の抽斗は用意してきたものの、それで足りるかどうか。
足りなければ、ごめんなさいと言うしかない!

県庁ロビーに入ると、私たち一行を見て女性が駆け寄ってきました。
大男の拓也さんはいい旗印(失礼!)、
「山本さんだけでもすぐに分かったのに」と美恵子さんである。
思っていた通りの気さくな人です。
沖縄染織の各理事長の方々を紹介してくださいました。

皆さんとの挨拶もそこそこに、会議室へ移動しようとすると、
会議室のエアコンが故障していて、暑くてたまらない状態とのこと
 (7月1日である)
急きょ、地下の喫茶店に会場を変更し、皆で飛び込むように入るのでした。
ほっと、ひと安心!
喫茶店で車座になって皆さんと会い対する感じになり、
胸をなで下ろしたのでした。
皆さんも私も布に携わる同じ職人、仕事に対する思いは変わりません。   
真剣な眼差しで私の話を聞いてくださり仕事談義にも花が咲き、
有意義な時間を過ごすことができました。

その夜、城間栄順さん表彰会場で平良敏子さんと待ち合わせの為、
友人が送ってくれました。
「はい、じゃあここからはこちらで預かります」と美恵子さん。
友人達は笑っていました。喜如嘉行きのスタートです。
満点の星がきらめく夜の道を、いざヤンバルへと向かうのでした。

車中では終始、布づくり衣づくりの話題でいっぱいに。
芭蕉を布にするまでの大変さを教えていただいたのですが、
改めてその尋常ではない仕事に驚かされます。
お二人の話を受けて、
私も芭蕉を衣にするまでの創意工夫について話す。
止むことのない布と衣の話。
こうやって互いの話の中から新しい何かが生まれようとしています。

やはり凄いなと感心させられたのは、
若輩者でまだまだ学ぶべきことが多い私からも、平良さんは
さらなる発展を求めて、次のヒント”を求めてこられることです。
現在の芭蕉布の工房のあり方を再確認し、
改善を図ろうとする思いが、ヒシヒシと伝わってくるのです。

芭蕉布をはじめ布づくりの長い歴史の中で、
あまりこのようなリアルな情報が交換されてこなかったことがよく分かります。
糸から衣になっていく工程でもっとこのような情報が交換されれば、
おもしろい物が生まれる創作のチャンスが無限の如く広がっていきます。
その中で、新たに生まれたり進化する技術があり、
あるいは途絶える技術もあるのです。
その繰り返しによって、
過去から未来が拓けていくのだと感じずにはいられませんでした。


  第3回は、「季刊きもの」176号 21年5月15日発売予定です
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