映画賞

やまもと工藝 きるものがたり 

山本秀司(和裁士:袈裟、茶入・茶碗袋、和装、仕立師)が主宰する和裁教室の物語。やまもと工藝の徒然
沖縄染織いざなふの風【同時開催】着物お見立て相談会 9月23~25日 10月21~23日 会場:やまもと工藝
きもの座学:9月23日 羽織りについて/ 24日 仕立もの見学解説/25日 長襦袢について 連日9:30~11:00
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[季刊きもの]秋 第177号 南の風に呼ばれて 最終回



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P84.P85 和裁士 山本秀司の沖縄染織紀行 南の風に呼ばれて

前に報告したコレこれの時の沖縄旅行記の4回連載のうちの最終回です。
 長いので時間のある時にでも読んで見てください。
(第1回第2回第3回)

南の風に呼ばれて 第4回「芭蕉布を最も生かす糸を求めて」

沖縄に到着した日の夜、平良敏子さんと美恵子さんに車で宿まで
送ってもらう道すがら、芭蕉布を着物という1枚の布のようにしてしまう
という私の発想から生まれた「織り縫い」のことが話題に上りました。

これは芭蕉の糸で一針一針織り付けるように縫うもので、
素晴らしいと言葉をいただいたのですが考えてしまうこともあるようです。
それは糸のこと、繊細な芭蕉の糸が
その技法に合うのかどうかを心配してくれたのです。
翌日平良さんの工房を訪ねた折、
「それではどんな糸が織り縫いには最適なのか」を
芭蕉布が作られている現場でともに考える機会に恵まれたのです。

芭蕉布を作るときには、糸の状態で
「ゆなじ(木炭を入れた液で蒸し炊くこと)」を施して糸を柔らかくし、
さらに織り上がった反物の状態でもこの「ゆなじ」をし、
喜如嘉の芭蕉布は完成します。
以前私が西脇ヒデさん作の芭蕉布(経苧麻、緯芭蕉)で織り縫いを
完成させたときには、同じ反物の経糸(手績み苧麻)をヒデおばぁ“から
貰い受け完成させましたが、糸段階の芭蕉ですと柔軟さが足りないのです。
そのため糸が弱く、布に馴染まなかったりし、
「1枚の布のように」はできないのではないかと心配されています。
以外にも芭蕉の糸は細いほど柔軟かつ強さがあります。
ただ細ければ良いのではなく幹の一部分からしか取れず、
バランスが難しい、それだけ糸は繊細で、貴重なものなのです。

芭蕉布は、無撚糸織物に分類されることがありますが、
実はその糸には撚りが掛かっているそうで、
私が芭蕉を糸として使う場合にも、そこにさらに少し撚りを掛けます。
ただし、もう少し強い糸にする必要があると感じ、
改善策として思いついているのが、糸に特殊な糊を引くという方法です。
この考えを美恵子さんに伝えると、「!それなら糸をあげようか」と
言っていただけたのでした。
織り縫いによる喜如嘉の芭蕉布が実現に向けて動き出した瞬間です。
芭蕉の木のどの部分からとった糸がよいのか、というスタート地点から
模索が始まりました。この取り組みは現在も進行中です。
すでに部分縫いをお送りしたところ、
これは人に見せたいとその出来に納得していただけたようです。
ぜひ完成した芭蕉布の織り縫いを平良さんと見たいものです。

着物作りの流通で多少の上下を繋げる試みは今までもずいぶんあります、
それによる発見もありますが、川の流れでいえばすでに海原に出ている
ような男を湧き出でる泉に投げ込んだら、その波紋はどうなるだろうか?
と、そこで泳いでしまう私も私ですが、それをやってのけてしまう
「ぬぬぬパナパナ」の小田玲子さんには称賛の声を送りたい。
これは作家側からも同じ気持ちであるに違いなく、
喜びようは伝わってきます。
新しい創造の世界が広がり互いに刺激し合い
素晴らしく面白い物が出来るという波に変わるのです。
それを着る方はどんなにか幸せな気持ちになれる事でしょうか…
想いは募るばかりです。

宿への帰路は、備瀬方面に住む工房のスタッフが送ってくれること
になっていました(宿のオジイの段取りです)。
しかし、平良さんと話すうち、時間はあれよあれよと過ぎていて、
そのスタッフさんもとうに帰宅してしまっています。
すると美恵子さんが言って下さいます「送っていくよ、ついでだから」と…
再びお言葉に甘え、感謝したのです。

夕刻、ヤンバルの湾岸を走る。水平線には巨大な夕日が沈もうとしています。
周りの世界と海面を真っ赤に染めながら、今にも海に触れそうになった頃、
備瀬に到着しました。
すると、那覇にいるはずの仲間が、そこにいたのです。
宿の近くにある名所「福木並木」を見に来たと言ってはいましたが、
わざわざ会いに来てくれたのでした。
翌日会うことになっているのにもかかわらず…。
私は宿の主人にその日の出来事を報告しながら、
ともに酒杯を酌み交わしたのでした。

明日からは石垣〜竹富〜西表島へ移動し染織を訪ねる旅は続きます。
どんな風が舞っているのか…ワクワクのしどうしです。
布を衣の形にするこの素晴らしい仕事に誇りを持ち、感謝しながら
(終わり)


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